住宅の玄関ドアが重たくて開けない・・・という経験はないでしょうか?
成人の大人であれば問題なく押せる玄関ドアも、子供やお年寄りになると開けないということも多々あるでしょう。
実際にお困りの方の質問掲示板です。 ⇒ 玄関ドアが重い?
こんな時は玄関ドアの調整等を行って改善される場合もありますが、改善されない場合もあります。
そんな時に注目してもらいたいのが、住宅で起きる「 負圧 」という現象です。
実際にどのような現象か・・・見て行きましょう!
負圧とは ?
「負圧」とは、室内側の空気が換気機器などにより強制的に室外側へ排出され、常に室内側が空気を必要としている状態です。
「負圧」状態になっているかと言って特に問題ありませんし、実際に生活する上でも特に支障はありません。
「酸欠状態」とは違って、室内側に酸素はあるので息苦しいとかはありませんし、住宅内に居て息苦しく感じるのであれば別の要因等が考えられます。
簡単に言うと「負圧」とは、第3種換気または第1種換気(条件によります)方式を採用した換気設備が設置されている住宅で起こり易い問題です。
特に第3種換気では、常に「負圧」状態にある可能性があり、それは気密性能と換気方法が関係しております。
第1種換気や第3種換気については、詳しくまとめた記事がありますので、換気方法に関する詳細を知りたい方は、こちらをご覧下さい。
この第3種換気は常に住宅内の空気を室外へ排出して、壁などに設置されている自然換気口から室外の空気を「差圧」を利用して、室内へ空気を取り込む方法で換気を行っております。
したがって、分かり易いイメージすると「ストローから限界に吸い込まれた紙パックのジュース」のような状態に住宅内がなっているということです。
このように住宅の壁やサッシ部分などが常に「住宅の中心・内側へ引っ張られているような状態」となっているため、玄関ドアを開けようとすると最初の開け始めがとても重たく感じるのです。
この負圧は、住宅の気密性能が高ければ高い程、「負圧気味」となり、換気を第3種換気で行っている場合は特に症状があらわれやすいです。
ちなみにどの住宅にも設置されているレンジフードも同様に第3種換気の仲間なので、調理中などにレンジフードを使用すると換気機器を動かしていなくても「負圧気味」になったりもします。
ではどうやってこの「 負圧 」を防ぐと良いでしょう・・・
負圧を防ぐ方法とは?
住宅の気密性能が高く、換気方法も第3種換気方式を採用している住宅で起きやすい「負圧」。
まず初めに、第1種換気方法を採用することです!
これから注文住宅等の取得を予定されている方は間違いなく、第1種換気方式を採用しているまたはされている住宅を取得することです。
「負圧」は、温熱環境のことを考えていないハウスメーカーや施行業者が建てる高気密仕様の住宅に第3種換気(室内の空気を強制的に室外へ排出し、差圧で室外の空気を室内へ取り込む方法)を安易に採用した結果です。
第3種換気設備の費用はとても安価であることとシックハウス法等で定められる1時間あたりの換気回数等を算出する方法が容易なため、外気温が-30℃にもなるような北海道の寒冷地ですら、現在でもダントツの割合を占めて採用されております。
したがって、気密性能が良く、第3種換気を採用している住宅で負圧を防ぐ方法はほぼありません。
唯一、対策するとするなら室内側に設置する自然換気口(室外の空気を取り入れる換気口)の数を増やして、室外からの空気の入り口を増やしてあげるほかないと思います。
このように住宅は、気密性能と換気方法がミスマッチとなることで簡単に不具合や問題が生じます。
本来、住宅とは断熱性能・気密性能・換気方法・冷暖房方法・調湿・蓄冷熱等をとことん考えられた「温熱環境」を極めることで初めて「快適空間」を作り上げることが出来ると私は考えます!
ちなみに私がいう「快適空間」とはインテリアや自分好みの空間内で過ごすことではなく、温度や湿度など人が生活する上で快適だと感じる温湿度空間のことです。
これから住宅を建てる皆さんは間違っても高気密仕様の住宅で第3種換気を使うハウスメーカーや施行業者で注文住宅等を建築・購入しないようご注意下さい!
ちなみに「負圧」の反対は「正圧」です。詳しくはこちら → 「正圧とは?」