【 快適な住宅を造るために必要となる知識と5っのポイント 】
快適な住宅とは?
皆さんにとって快適な住宅とは、どういった住宅でしょうか?
ちなみに快適とは、「具合が良くて、非常に気持ちの良いこと」であり、住宅の中にいると気持ちが良いこと=温湿度が暮らす人にとって、心地よい温湿度であれば快適ということになります!
そして、心地よい温湿度は家族であろうが、夫婦であろうが個々に違いますので、それぞれの人に合った温湿度環境を作り上げる必要がある訳です。
現在では、安い住宅を建てようと思えば、いくらでも建てることが出来ますが、本来は数十年後の将来を考え、イニシャルコスト(建築費用)にお金をかけて、ランニングコスト(維持費)にお金をかけない方が賢い選択だとご理解頂けるはずです。
この記事では、そんな快適な住宅であり、イニシャルコストは高くても、ランニングコストを抑える住宅に関する知識とポイントをお伝えしたいと思います。
ポイント①:冷暖房
住宅において一番エネルギーを使っているのが、「冷暖房」であり、人が生きていくためはもちろん!快適に生活する上で必要不可欠なものです。
石油などの可採年数は、50年程とみられており、輸入に頼っている日本で灯油を使う暖房はまったくありえない話であり、1のエネルギーで5倍も6倍もの熱を生み出すことが出来るエアコンはこれからの住宅の冷暖房に必須と言えます。
そのエアコンは、「対流」という熱の伝え方で冷暖房しますが、住宅にとって理想的な冷暖房方法は、「輻射(放射)」とうい熱の伝え方で、全館冷暖房することです!
※熱の伝え方に関する詳細はこちら ⇒ 熱の伝わり方「伝導・対流・輻射(放射)」を徹底解説!
エネルギーを使って、住宅内を暖かく(涼しく)したからには、その熱を上手に使わなければいけません。
そこで次に重要となるのが、「断熱」性能です。
ポイント②:断熱性能
冷暖房で暖かく(涼しく)した住宅内の熱を上手に使うためには、「断熱」して熱を逃がさないようにする必要があります。
断熱されていない住宅は、熱が逃げたい放題になり、冷暖房にかかるエネルギー(電気代や光熱費等)が増えていきますので、正しい方法で断熱性能の高い断熱材で断熱するのが、ポイントです!
ちなみに一番理想的な断熱方法は、「内外W断熱」となります。
理由は、「ヒートブリッジ(熱橋)」にあり、ヒートブリッジとは、木材(柱など)からも熱が伝わって逃げていくことです。
したがって、外断熱することはとても重要ですが、外断熱だけに頼るには断熱材の厚さや重さなどに限界がありますので、総合的に考えると「内外W断熱」となります!
しかし、断熱のみに高性能でお金をかけても無駄になります。
断熱性能を追求したのであれば、同時に「気密」にも注意しましょう!
ポイント③:気密性能
「気密」とは、住宅の隙間を出来るだけ少なくすることです!
隙間があると、冬であれば外の冷たく乾燥した空気が住宅内に入り込んできますし、夏であれば暑くてジメジメした空気が住宅内に入り込んできます。
これではエネルギーを使って「冷暖房」して、その熱を逃がさないように断熱したのにも関わらず、外の影響を受けて、住宅内が冬は寒くなり、夏は暑くなってしまいます。
そのため、「断熱」だけではなく、「気密」にも気を使う必要があり、「高気密・高断熱」の住宅が省エネルギーになるのは、このような理由からとなります!
気密は、基本的に「C値」という数値で言い表されますが、住宅内の隙間を減らしても窓(引き違いサッシ)や換気(場合によっては)、玄関ポストなども隙間になる可能性がありますが、基本的に住宅での気密性能はC値が「1(いち)」ほどあれば十分と言われております。
以上、「冷暖房」を省エネにして、快適に生活するためには「高断熱」であり、「高気密」でなければいけないということはご理解頂けたと思います。
ちなみに話は少し変わりますが、「高断熱・高気密」で尚且つ「内外W断熱」を実現するためには、是非、現場発泡の硬質ウレタンフォームをご検討下さい。
詳細はこちらの記事「吹き付け硬質ウレタンフォームとは?グラスウールに変わる断熱材!」をご参考下さい!なぜ、オススメするのかも書いております!
ただし、これら「冷暖房」・「高断熱」・「高気密」だけでは、ダメで皆さんもご存じだとは思いますが、現在の建築基準法ではシックハウス法から「24時間換気」が義務付けられております!
では次は「換気」を見ていきましょう!
ポイント④:換気方法
「換気」は、建築基準法にて住宅内の空気全てを2時間に1回入れ替えなさいという理由から「24時間換気」が行われております。
外の空気と室内の空気を入れ替えるため、外が冬で寒く乾燥していれば、そのまま住宅内に入り込みますので、「気密」時と同様に外気の影響を受けてしまいます。
そこでなるべく省エネルギー(=熱損失を少なく)にするためには、「第1種換気」方法にて、熱交換式換気扇を設置する必要があります。
※換気または第1種換気についてはこちら ⇒ 住宅の24時間換気と3種類の換気方法を徹底解説!
この第1種換気の熱交換式換気扇は、冬であれば室内の暖かい空気を外へ排気する際、外から住宅内に取り込んだ冷たい空気に加温(熱交換または熱がなじむ?)することで性能的に可能な限り、室温に近づけてあげて住宅内に取り込みます。
したがって、住宅内の外へ捨てるはずだった暖かい空気を再利用して、熱損失を軽減させることで大きな効果を得られるのは、「第1種の熱交換式換気扇」しかありません。
以上の理由から換気についても選択肢は1択しかありませんが、熱交換式換気扇にも種類があり、「全熱式(ぜんねつしき)」の熱交換式換気扇と「顕熱式(けんねつしき)」の熱交換式換気扇があります。
まずは「顕熱式」ですが、単純に顕熱とは、温度のことを指しており、熱交換式換気扇で交換するのは、空気中の「温度だけ」となります。
この顕熱式の熱交換式換気扇は、換気扇内に結露が発生するため内部に結露受けやドレン排水が設置されている機器が多いです。
次は、「全熱式」ですが、全熱式とは、温度と湿度のことを指し、熱交換式換気扇で交換できるのは、空気中の「温度と湿度」を交換することが出来ます。
※これら顕熱・全熱に関する詳細はこちら ⇒ 顕熱・潜熱・全熱について
以上のことから換気で失われる熱(エネルギー)を軽減させることが重要であり、室内の空気をただ外へ排気する第3種換気と比べると雲泥の差ですので、注意しましょう!
そして、以上までのポイント①~④が省エネルギー住宅にとって、一般的に重要とされている項目・ポイントですが、ここから私はさらに踏み込んで省エネを提案したいと思います!
そこで重要になるのが、住宅内の「湿度(潜熱)=調湿機能」です!
ポイント⑤:湿度(潜熱)管理=調湿
ポイント④でもご紹介致しましたが、この記事で紹介しているポイント通りに住宅の省エネルギーや快適性を考えてくると必ず重要になってくるのが、「湿度管理(調湿機能)」です。
関東や九州などは夏になると梅雨があり、ジメジメした湿度の高い夏に悩まされますが、空気中には湿気(水蒸気)が含まれており、その「湿気には、熱が含まれて」おり、これを「潜熱」と言います。
したがって、空気中には温度に関する熱もありますが、湿気に含まれる熱も少なからず温湿度環境に影響を与えております。
そのために重要となるのが、「調湿機能」です!ちなみに除湿ではなく、「調湿=湿度を調節する」ことです!
例えば一般的に知られているのが、珪藻土の塗り壁には調湿機能があり、もちろん北海道にある炭1トンの家のように炭にも調湿機能があります。
※これらは自然に備えられている特長・効果となっておりますので、その効果は微々たるものです。
この湿度管理には、ポイント④でもお伝えしましたが、「全熱式の熱交換式換気扇」にも多少の効果を得ることができますが、この記事に書くととてつもなく長くなりますので、詳しくはこちら「第1種換気の全熱交換器を使って、住宅を省エネ化!」をご参考下さい!
この湿度管理の目的は、湿度が抱えている熱も軽減させて省エネルギーに繋げようということです!
快適で省エネな住宅の根拠
これまでにポイント①~⑤までをお伝えしてきました。
これら「断熱」・「気密」・「換気」・「冷暖房」・「調湿」は住宅の温熱環境を考えるともっとも重要な要素あり、省エネルギーで高性能な住宅を建築するために必要不可欠です!
特に「調湿」を抜かした4っの要素は、どんな住宅であっても本来は重要視されるべき要素であり、これらをまったく無視して建てた住宅が「ローコスト住宅」となります。
ただ「住宅が欲しい!」・「カワイイ家に住みたい!」と漠然に考えるのではなく、将来20年~30年暮らす住宅として見なければいけないこと。
子供達はいずれ親元を離れ、年齢を重ねるごとに階段の上り下りが辛くなる歳まで一緒に年を重ねる住宅であるからこそ、本来、重要視しなければいけない「快適性」と「ランニングコスト(維持費)」を一番に考えた住宅造りしませんか!?