出生率の低下や平均寿命が延びている影響から年々、少子高齢化が進んでいる昨今です。
年々、右肩上がりで高齢者は増加、右肩下がりで出生率が下がり続けている中で、高齢者と言われる方々の預貯金が小国の国家予算並みであるという噂もありますが、本当でしょうか?
どんなにオ〇オ〇詐欺などの犯罪が増加しても、被害に遭われる高齢者の方は後を絶たない状態を見るをやはり高齢者の方々はお金持ちということなのでしょうか?
と少し話が脱線しましたが、これから少子高齢化が進んでいく上で住宅業界ではどういった住宅が必要とされるのか・・・
高齢者の方々と住宅の関係を少しお話していきたいと思います!
温熱環境 と健康寿命
温熱環境を細かく言い表すとすごく難しいので、私は「温熱環境=住宅内の温湿度や快適環境」として考えております。
これら温熱環境は、高齢者の方々が元気で活動することが出来る「健康寿命」と密接に関わっております。
まず「健康寿命」とは、「日常を介護なしで、自立した生活できる生存期間」を言い、平均寿命から介護(自立した生活が送れない)期間を引いたのが、「健康寿命」となる訳です。
ではなぜ、住宅の温熱環境と健康寿命に関わりがあるのかと言いますと・・・
2009年の参考資料となっており、データが古いですが、下の画像は「病院で亡くなる方の数」と「自宅で亡くなる方の数」を比較したグラフです。
※この画像は、ピコピコ通信様よりお借り致しました。
このグラフを見て分かる通り、季節によって違いはありますが、11月頃から死亡率は上がって行き、2月頃には下がり始めるのが良く解ります。
これは何を意味するか分かりますか?
住宅関連の知識がある方ならすでにお気づきのはず・・・この比較的外気温が寒くなると起きる「ヒートショック」が原因で亡くなっている方が多いことを予想されます。
こちらは実際に「入浴中の急死者の搬送数」の数値をグラフにした資料です。
※この画像も、ピコピコ通信様よりお借り致しました。
このグラフを見ると気温が下がってくる時期から死者数が増え始め、気温が上がってくると共に死者数が減っていることが分かります。
このようにグラフから読み取れることは、「気温が低い時期に死者数が増加」しているということであり、「ヒートショックが原因」で亡くなる方が多くいることを裏付ける資料でもあります。
ではなぜ「ヒートショック」が起きてしまうのか・・・見て行きましょう!
ヒートショックが起きる原因
「ヒートショック」とは、室内の急激な温度変化により血圧の上下の変動が大きくなることが要因とされており、心筋梗塞、不整脈、脳梗塞などを引き起こします。
しかし、単純に心筋梗塞、不整脈、脳梗塞だけでなく、「ヒートショック」が原因で湯船の中で失神してしまい、溺死してしまうことも多いです。
したがって、「ヒートショック」が起きる原因は、「住宅内の温度差(暖かい所と寒い所がある)」ということになります。
私も小さい時に住んでいた住宅もそうでしたが、リビングなどの居間は人が多く集まるので暖房されておりますが、キッチンやお風呂場に移動すると息が白くなるほどの寒さだったことを覚えております。
この同じ住宅内での温度差が体や心臓に負担をかけてしまい、結果、自宅で亡くなる方が多くなってしまう訳です。
ではどういう対策を行えばよいでしょうか?
ヒートショック対策と健康寿命を延ばす
単純にヒートショックとは、住宅内の温度差から起きる健康被害のため、「温度差の少ないまたは温度差のない住宅」に住む事が重要です。
しかし、既存の住宅に住まわれており、温度差に悩まれている方も大勢いらっしゃるかと思いますが、その方々の対策もやはり「部屋ごとの温度差を作らない」ことが一番重要ではないでしょうか?
そうなると人がいない部屋でも暖房しなければいけないことになりますので、「勿体ない」という考えから暖房を止めてしまうのがエコであり、省エネですよね?(笑)
しかし、温熱環境を極めた住宅に住まうことで全館冷暖房された温度差の少ない住宅に省エネルギーで暮らせることが出来れば何も問題ないのではないでしょうか?
そして全館冷暖房を省エネルギーで暮らすためには、「断熱・気密・換気・冷暖房・調湿」の5要素がうまく機能しないと温熱環境を極めたことにならないと私は考えます。
そうすることによって心疾患などの健康被害に遭う機会も減らす事ができ、結果、「健康寿命」の伸ばすことが出来るのです。
ちなみに高気密・高断熱仕様のパイオニアである北海道は、「ヒートショック」による健康被害者数や死亡率がダントツで最下位であるのは有名な話です。
これから国の方向性や高齢化社会がどんどん進むことを考えると「住宅の性能と省エネルギー」は切っても切り離せない未来の住宅の在り方なのかも知れません。